冷房病注意報!

人間の体温は常に一定に保たれています。
たとえ激しい運動をして体内に熱が発生しても、汗をかくことによって、体温を下げることができるのです。汗による気化熱を利用して、体内に溜まる熱を体外に放出するからです。これは、気温が高い日に玄関先などに水をまくことによって涼しさを感じることと原理はおなじです。
ところが、1日じゅう冷房のなかにいると、あまり汗は出ません。皮膚はベタベタせず、どちらかというとサラサラしています。このように、汗をかかない状態のまま、身体の熱が体表から奪われてしまいます。
この状態では皮下にある毛細血管(約7ミクロンの血管。1ミクロンは1000分の1ミリメートルで、髪の毛は細いもので直径100ミクロン、毛細血管はその10分の1以下の細さで全身に張り巡らされている。この全身の毛細血管や血管をつなぎ合わせると前長約9万キロメートルにもなる。それは、なんと地球を 2周もできる長さ。そこに約5リットルの血液が流れていて、心臓から出た血液は約1分間で体内を1周する)は、身体の熱が奪われないように守るため、血流量を減少させてしまいます。
同時に汗腺も収縮して、汗が出ないようにします。これも、身体の熱が奪われることを防ぐためです。
このふたつの作業を行なっているのは、血管のまわりなど、身体のあちこちに存在している自立神経です。
自律神経というのは、自分では意識することのできない神経で、睡眠、血圧、体温などの調整や内臓の働き、免疫などといった働きをつかさどっています。
このように身体に異常事態が起こっている状態で温度の高い外に出ていったりすると、今度は急激に血管を拡張させ汗腺も開いた状態になって、汗を出そうとします。こうした急激な温度変化もまた、身体にとっては異常事態となるわけです。
この急激な温度の変化が1日のうち何度となくつづくと、全身に張り巡らされている自律神経は悲鳴をあげはじめます。
そして、自律神経によって行なわれている身体のさまざまな繊細な調節がうまく行なわれなくなるのです。
こうなると汗はあまり出なくなり、やがて汗腺自体が衰退してきます。
余談ですが、このような人は汗の臭いが強くなり、とても不快になります。
実は汗をよくかく人よりも汗をあまりかかない人のほうが、老廃物などがあまり対外に排出されないため、汗自体の臭いは強くなるのです。
冷房病というのは、クーラーなどで長いあいだ身体が冷やされたことが原因となって皮下の毛細血管や汗腺に異常事態がつづき、ついには自律神経が障害され、身体にさまざまな症状を起こすことを指します。
冷房病というのは、冷え症のなかの一部分と考えられます。
冷房病はひどくなると、温度変化などの周囲の環境の急激な変化に身体がついていけなくなり、めまいやフラツキ、貧血、血圧の変動などの軽いショック症状を起こすことがあります。これはヒートショックのなかにあるコールドショックと呼ばれているものです。
 

 

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