生理痛改善  月経困難症を知ろう

1. 月経困難症とは
    月経の度に、腹痛(普通は下腹部の痙攣性疼痛)を繰り返す状態を、月経困難症といいます。吐き気や嘔吐を伴うことも多く見られます。その度に、便秘や下痢、頭痛、筋肉の痙攣などの症状も見られます。
  毎回、生理痛がひどくて、仕事や学校などを休まなければならない、又、休んでいても、ひどい痛みのために苦しむ、鎮痛剤を飲んでも効かない....などの症状があるような場合です。
  ただ、10代の女子の場合には、80%以上の子が、一度は、このような月経困難症を経験したことがあるといわれます。何回も繰り返し、ひどい月経困難症となる子は、アメリカの高校生の調査では、約33%といわれています。

2. 運動をすると症状が軽くなる!!
    身体的に活発な女子は、活発でない女子に比べて、生理痛をおこしにくいことが報告されています。つまり、運動療法(少なくとも規則的な運動)が、生理痛を軽くします。
  又、タバコやお酒は、ときどき飲む程度でも、激しい生理痛をおこす原因になります。

3. 月経困難症の原因
  (1)プロスタグランジン:
      生理の時、子宮内膜から、プロスタグランジンというホルモンが分泌されます。
  このホルモンは、子宮を収縮させたり、子宮の血行を悪くしたり、下痢や吐き気、骨盤の痛みなどをおこします。いわゆる“生理痛をおこすホルモン”です。
  月経困難症の患者さんの子宮では、このプロスタグランジンの分泌量が、正常の人より多いために、ひどい生理痛となることがわかっています。

  (2)子宮発育不全、子宮頚管狭窄、位置異常:
      まだ、子宮の発育が未熟のため、また、子宮から出血の出る通り道が細いために、血液を排出しようとして、子宮が強く収縮して、強い生理痛がおきる場合もあります。この場合は、大人になってくるに従って、子宮も発育してくるので、自然によくなります。また、通り道が細い場合では、妊娠-出産後に症状が軽減する人もいます。

  (3)精神的な因子、ストレス:
      月経時に伴う不快感や、他人に知られたくないという気持ち、体育や水泳などのスポーツをする時の嫌な思い、男子が一緒であれば、よけい気恥ずかしいなどのさまざまな感情が、精神的なストレス、圧迫感となる子供もいます。それを、下腹部痛や腰痛、貧血症の症状として訴える場合があります。
  これらの症状が負担で学校へ行きたがらないなどということもあり、日頃からスポーツなどで気をまぎらすなどして、快適に過ごす方法を考えることも必要です。

  (4)子宮内膜症:
      毎月ひどい月経困難症があり、だんだん程度が強くなってきた、鎮痛剤が効かない、転げ回るようなひどい痛みが毎月ある、などの場合には要注意です。このような場合には、子宮内膜症という病気をもっていることがあるからです。
  まず、鎮痛剤などで治療を行ってみて、無効な場合には、子宮内膜症の検査をおすすめしています(超音波検査、CT、MRIなど)。
  思春期女子の4~17%にこの病気がひそんでいると報告されています。

4. 月経困難症の治療
  (1) プロスタグランジンの合成酵素阻害剤(鎮痛剤)の内服
      生理痛に対する鎮痛剤(インダシン、セデス、イブ、など)は、プロスタグランジンの産生を抑制し、症状が軽減します。痛い時だけ、内服します。

  (2) 黄体ホルモン剤(デュファストン)の内服
      生理の1週間くらい前から、7日間、内服します。生理痛を軽減させるだけでなく、生理不順をなおしたり、子宮内膜症の悪化を防ぐ作用もあります。

  (3) 子宮収縮抑制剤(ズファジラン)の内服
      生理時の子宮の収縮を抑え、子宮への血行を改善します。痛い時または、痛くなりそうな時に内服します。

  (4) その他
      ピルの内服により、排卵を抑制する方法、子宮内膜症治療薬の使用、手術療法(腹腔鏡下に生理痛を感じる神経を切除する方法)などがあります。

     
    *運動療法:  毎日、少しでも、運動することが、生理痛を軽くします。

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