自律神経は、生命活動を維持するとても大切な神経で、簡単にバランスを崩すようなことはありません。
もし、何かをきっかけにバランスが乱れたとしても、それを整える力が人には備わっています。
では、なぜ自律神経失調症になってしまうのでしょうか?
一般に、生活のリズムが乱れている人、精神的・肉体的ストレスを受けやすい環境の人、また、更年期の人などは自律神経失調症があらわれやすいと言われています。
しかし、このような人が必ず自律神経失調症になるとも限らないのです。
これだけ進んだ西洋医学においても、なぜ自律神経失調症になる人とならない人がいるのか、まだはっきりとした原因はわかっていません。
一方、東洋医学では昔から「冷えは万病のもと」と言われてきました。
「冷え」は、身体に本来備わっている自己治癒力を低下させてしまいます。
自己治癒力とは、ウイルスなどの外敵から身体を守る免疫力、傷や骨折の修復能力、細胞の再生能力や新しい命を授かる妊娠力、そして、自律神経のバランスを整える調整力などをいいます。
自律神経の調節を司る中枢は、脳の視床下部というところにあり、2つの自律神経がバランスよく働くようにコントロールしています。
そして、コントロールするには力(エネルギー)が必要です。
調整力とは、「自律神経をコントロールする力(エネルギー)」と言い換えるとわかりやすいでしょうか。
このように、生命を維持して健康に生きていくために必要な力を総称して、自己治癒力といいます。
また、東洋医学では人の体には、陰と陽の2つの働きがあり、この2つのバランスが保たれている状態が良いと言われてきました。
東洋医学の基本概念に陰陽論という考え方があります。
すべてのものには二面性、陰と陽があり、そして陰陽は相対的なものと考えます。
一方が陰なら一方は陽です。反対のものでありながら、調和する、それが陰と陽です。
たとえば、女性(陰)と男性(陽)、1人の人を見た場合は、下半身(陰)と上半身(陽)などです。
人の身体の働きでは、相反する働きをする自律神経の副交感神経と交感神経はまさに陰陽を意味しています。
その他に、ホルモンや神経伝達物質にも陰陽の作用をするものがたくさん見つかっています(昔から言われてきた陰陽の働きが、現代医学の分野でもわかってきたのです)。
陰があるから陽があり、陰だけ、あるいは陽だけが単独であるのではないのです。
そして、人は陰陽のバランスが整い、自己治癒力がきちんと働いている状態が健康とされてきました。
気血のめぐりが悪くなり、体が冷え、自己治癒力が低下し、陰陽のバランスが乱れることでさまざまな症状があらわれると考えられてきました。
例えば、仕事で無理をしたり悩み事を抱えると一時的に交感神経が緊張して、副交感神経の働きは抑制されて血管が収縮し、血流が悪くなります。
血流が悪くなると、身体に「冷え」が生じてきます。
なぜなら、体温は主に内臓でつくられ、血流にのって全身に運ばれているからです。
このとき、休息をとったり気分転換などをして副交感神経の働きが優位になると、血管は拡張して血行は良くなります。
やがて、「冷え」は補われ、自己治癒力(調整力)で自律神経のバランスは整います。
ところが、無理や悩み事を抱え続けると、交感神経が過緊張に陥り、「冷え」はますます強くなります。
その結果、自己治癒力(調整力)は低下してしまい、自律神経のバランスは崩れ、さまざまな体調不良が起こるのです。
きっかけは、ストレスなどによる一時的な自律神経バランスの乱れです。
このとき、無理を続けなければ自己治癒力によってバランスは整います。
しかし、無理を続けると「冷え」が生じ、自己治癒力は低下してしまい、自律神経のバランスは崩れてしまいます。
身体が冷え、自己治癒力が低下し、陰(副交感神経)と陽(交感神経)のバランスが崩れ、自律神経失調症となってしまうのです。
東洋医学ではこの冷えを「根元的な冷え」と呼び、病の根本原因と考えています。
このように鍼灸治療は、数千年の歴史と先人たちの治療の積み重ねの中で、冷えと病の関係を明らかにしてきました。
そして、その考え方と治療法は脈々と現代にまで受け継がれています。
近年、西洋医学の分野でも、「体温が1度下がると免疫力は30%低下する」など、身体の大切な機能の低下が「冷え」と関係していると言われるようになりました。
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