薫楽  アロマ・アロマテラピー

* アロマテラピーとは?
アロマテラピーという言葉は20世紀初め、フランスの科学者ガットフォセが実験中の事故で火傷をし、偶然ラベンダーの精油を用いたところ、火傷が回復したという自ら体験した事からこの植物療法を「アロマテラピー」と命名したのが始まりです。
アロマテラピーでは「精油」=エッセンシャルオイルを使用しリラクセーションやリフレッシュなどの香りを楽しんだり、身体と精神の恒常性の維持と促進、健康と美容の維持と増進をはかるための自然療法です。植物には様々な香りがあり、それぞれに色々な作用があります。その中から私達の身体や精神に役立つものを選び利用する事がアロマテラピーの基本的な考えです。また、身体のトラブルを部分だけでとらず、心も含めた全体的なものと考えます。身体と心の健康を取り戻し維持するために植物の香りの力を借りてみてはいかがでしょうか?

* アロマテラピーの歴史
植物の力を、身体と心に役立てようという考え方は数千年もの前の古代文明の時代からありました。例えば、新約聖書にはイエス・キリストの誕生の時に、東方の三賢人は黄金、乳香、没薬を捧げたと記されています。乳香と没薬は神の薬と言われていました。今では乳香はフランキンセンス、没薬はミルラとしてアロマテラピーで利用されています。また、エジプト時代の壁画には香油の壷や香炉も描かれています。インダス文明の遺跡からは精油を抽出する器具が発見されたと言われてます。香りの利用が当時の時代の生活にも根付いていたことをいずれも示しています。
中国では2~3世紀の漢の時代にまとめられた漢方の原典である「神農本草経」に自然界で薬として利用できる物質が記されているが、ほとんどが植物なのです。
古代ギリシャ・ローマ時代には驚く事に精油は医薬であり、芳香療法は医療であったのである!医学の祖と言われるヒポクラテスや「マテリア・メディカ(植物誌)」を著した医師、ディオスコリデスが活躍したローマ時代から18世紀に至るまで、アロマテラピーはヨーロッパでは医学の柱だったのです。
今まで薫香や浸剤として利用されていたアロマテラピーだが、11世紀のイブン・シーナによって精油蒸留法が確立されました。また、彼は「医学典範(カノン)」に精油とその応用を著しました。これが芳香利用の歴史の中で大きな進歩につながったのです。中世ヨーロッパの修道院医学に、そして16世紀から盛んになったハーブ医学へと発展しました。祖の頃有名なのが「ハンガリアンウォーター」です。ハンガリー王妃エリザベート・世は若くして夫を亡くし、晩年になって手足が痛む病気になった時、修道院の僧が彼女のために、ローズマリーなどを使った薬を献上したところ、様態は良くなり、70才を越えた彼女にポーランドの王子が求婚したということです!

そして20世紀、前にも述べましたように、1928年ガットフォセが「アロマテラピー」という言葉を生み出したのです。それから、アロマテラピーは精油の殺菌など薬理作用などで注目されます。それを実践したのが、フランスの外科医、ジャン・バルネです。彼は軍医として戦争で負傷した者に精油から作った芳香薬剤で治療しました。その実体験を「アロマテラピー」で著しました。
現代のアロマテラピーは西洋医学とは一線をおき、自然の力を活用する療法として発展しています。代表的な物にマルグリット・モーリーが考えた、精油を植物油に希釈して、マッサージをするという方法があります。心身のバランスを正常にするというこの方法論はイギリスのアロマテラピーに大きな影響を与えました。また、ロバート・ティスランドは先人の理論や方法論をまとめ、「芳香療法・理論と実際」を著しました。これはイギリスでけでなく日本のアロマテラピーの発展にも影響を与えました。

* 精油の伝わり方
精油はほとんどの国では直接飲むという方法をとっていません。日本も同じです。精油の作用を穏やかに利用するには、芳香を嗅ぐなど体の外から取り入れるのが一番良いのです。
1.鼻から脳へ
  鼻からの情報が大脳辺縁系へ最初に伝達される。大脳辺縁系は感情や本能的活動を支配している。さらに、その情報は自律神経やホルモン調節、免疫をコントロールする視床下部に伝わります。生理反応や本能に直接働きかけ、心身のバランスを整えるのに役立ちます。
1.皮膚から全身へ
  精油を希釈したオイルでトリートメントを行う方法。皮膚から吸収されて、毛細血管やリンパ管に入り全身へまわるルートです。
3.鼻粘膜からの吸収と口から吸気とともに吸い込んだ時の肺から全身へ
  香りを吸収すると肺から血管へ、そして血液にまじり、全身へ運ばれます。

* 精油(エッセンシャルオイル)とは?
植物にとっての香り:どうして植物は香りをだしているの?植物は自らの種を繁栄させていく為です。
1.子孫を残す
  自力で移動できない植物は昆虫や鳥などの力を借りて受精したりします。その為に生き物を引き寄せる魅力が精油の香りなのです。
1.守る
  逆に特定の虫やカビなどの有害菌から自分の身を守る為に香りを出します。傷つけられても植物には免疫機能があるので大丈夫。
1.生存競争
  他の植物の発芽や成長を妨害し、自分の種を守る。

* どうやって精油は作られる?
1.水蒸気蒸留法
  原料の植物を入れた蒸留釜に蒸気を吹き込み、蒸気を冷やし液体に戻ったところに精油と水分を分離する。ラベンダーやローズマリーの精油はこうして作られる。
1.圧搾法
  搾りとるという方法。果皮に精油を含む柑橘系の植物に使われる方法。熱を使用せず、低温のまま抽出できるのでより自然の香りが保たれる。
1.溶剤抽出法
  石油エーテル、ヘキサンなどの溶剤に植物をつけて芳香成分を溶かし出す方法。抽出された精油はアブソリュートと呼ばれる。ローズアブソリュートやジャスミンがつくられる。

* 精油の保存方法・保存期間
精油のきらいな物:空気、光と高い温度  なので冷暗所に保存すると良い。柑橘系は酸化しやすいので、半年くらいだが、平均は約1年。

* 暮らしの中のアロマテラピー
私達の生活の中で日常的にアロマテラピーと精油の様々な働きを楽しんでみましょう!
 部屋での芳香浴:芳香浴の器具を使い、精油を室内に香らせて、芳香を楽しむ方法です。殺菌作用の高い精油、ラベンダーやティートリーで部屋の消毒にも有効です。
 吸入する   
セキがでたり喉の痛みに有効な方法。洗面器に熱いお湯を入れ、精油を3滴以下たらし、立ち上がる湯気を吸い込む方法です。目は閉じて下さい。湯気がたたなくなったら、お湯だけをつぎだして下さい。呼吸器だけではんくスキンケアにも良いです。呼吸器にはペパーミント、ユーカリなど。スキンケアにはローズマリーやゼラニウム。
 入浴     
入浴自体にリラックス効果がありますが、入浴剤として使えば、香りをかぐ、湯気を吸入する、皮膚からの浸透とすべてのルートから精油を取り入れられる方法です。入浴する直前に精油を全身浴なら5滴以下直接入れ、よくかき混ぜます。しかし、精油は水に溶けないので、精油の種類や敏感肌の人によっては注意が必要です。刺激を防ぐ為にキャリアオイルや天然塩などに希釈して使用するのもいいでしょう。
キャリアオイルの場合:キャリアオイル10mlに精油5滴以下
天然塩の場合:天然塩50gに精油を4~5滴
リラックスしたいときはぬるめで長く、しゃきっとしたいときは熱めで短く入りましょう。
 部分浴
半身浴の場合はみぞおちまで湯につかり、精油は3滴以下にしましょう。手浴は洗面器などにお湯をはり、精油を3滴以下入れ、両手首まで浸します。足浴も洗面器にお湯をはり、精油を3滴以下入れ、両足首まで浸します。冷え性の人にお薦めです。また、座浴は痔やかゆみなどを和らげるのに有効です。たらいなどにお湯をはり、3滴以下の精油を入れ、お尻を浸します。サイプレスなどが痔の症状を和らげます。
 湿布
精油3滴以下を洗面器にはった水またはお湯に入れ、タオルをつけて軽くしぼり、タオルを湿布したい所に当てる。頭痛や腰痛などに良いでしょう。ローズマリーやローマンカモマイル、ラベンダーなどが有効でしょう。
 塔hオイルを使用します。ブレンドオイルはキャリアオイルの量に対して濃度が1%以下になるよう精油の滴数を計算する。例えばキャリアオイル20mlなら精油4滴です。 ブレンドオイルを手にとり、トリートメントする部分にのばし、さすったり、もんだりします。
 家庭で自分だけの為に精油を使ってブレンドオイルや化粧水、ハンドクリームも作れます。

*精油の取り扱い注意事項
飲まない・火気の近くで保存しない・原液を肌に浸けない・幼児の手の届くところに保存しない・てんかん、妊娠中、高血圧の人は専門家に相談する・敏感肌、アレルギー体質の人は事前にパッチテストをする・光感作作用の精油(柑橘系)に注意する・希釈したものでも粘液につけないP1000455P1000495

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