排卵のある月経が毎月きちんと来て、痛みがないというのが、月経 のある年令(10代後半、20代、30代、40代)の健康な女性の姿です。じっさい、月経の時に痛みなどの印がないの で、うっかり、準備をせずにでかけてしまい、気がついてみると月経がはじまってしまって困った経験のあるかたもおられるのではありませんか?
産婦人科学会がまとめた用語集では、月経困難症とは“月経に随伴しておこる病 的症状をいう。下腹痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労、脱力感、食欲不振、いらいら、下痢および憂うつの順に多くみられる。”となっています。
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮の出口(頚管)が狭い (子宮頚管狭窄)、子宮位置異常、先天奇形、クラミジァなどによる骨盤内の炎症(骨盤内炎症)による月経困難症を器質性月経困難症といいます。30才以上に多く、年をとるほど ひどくなる傾向があると考えられていました。しかし、現在では、クラミジァ感染は10代にふえており、また、ダイオキシンなどの環境ホルモンの影響で、子宮内膜症が増加して いることが考えられ、若いひとでも原因をきちんとしらべることがたいせつです。
原因とされる、病気の性質によりますが、月経の4-5日 まえから、月経がおわったあとまで続く、しかも、ずっと続く鈍い痛みであることが多いようです。子宮内膜症では、月経がくるごとに痛みが増し、また、子宮 内膜症のできている場所によっては、大腿(ふともも)にひびく痛みがあります。この痛みの原因はプロスタグランディンと いう痛み物質が過剰にだされるためとかんがえられています。
月経がはじまる12‐3才ごろは、からだは未成熟で、 排卵がなく月経困難がおこることは少ない(あるとすれば、このころの月経困難症は子宮発育不全による)のですが、排卵がはじまる10代後半から月経痛がおこるよ うになるのです。
妊娠、分娩を経験すると自然になおってしまうことが多いとされています。
月経の(はじまった日、)次の日、その次の日といった、月経量の多い時につよく、けいれんするような痛みが周期的にやってきます。ここでも痛み物質である プロスタグランディンが関係しているという説が有力です。
ストレスもまた、自律神経に異常をおこし、骨盤にある臓器の血 流をわるくして、子宮筋の収縮異常をおこし、月経痛をおこします。