HSP 温熱療法

がんが温熱により治るという事実に気づいた医師がいます。

1866年、ドイツのブッシュ博士は、丹毒や肺炎などの感染症で高熱が続くと、がんが治ってしまうと報告しています。
1900年代初頭には、ニューヨークの整形外科医のコーリ博士が、手術不能の悪性腫瘍の患者で、丹毒に感染した38人のうち20人が完治した、という事実を発見しました。

そして、連鎖球菌と霊菌から抽出した混合毒素を手術不能がん患者312人に投与して発熱させたところ、134例に有効だったことを確かめています。

 

 

○ 温熱療法の理論

温熱療法のがんに対する効能は、一次的作用としてがんが熱に弱いという性質を利用した直接的な治療法があります。
また、体を温めることにより、免疫機能が向上したり、熱蛋白が誘導されたり、解毒作用があるなどの二次的作用による効能を期待した治療法があります。
 温度と細胞死の関係を見ますと、43℃以上ではがん細胞も正常細胞も火傷を起こして死にます。39~42℃では、がん細胞の増殖が止まることが分かっています。

 

 がん細胞の血管は、がん組織がどんどん増殖するのに栄養を補給するために、新しい血管が作られます。しかし、その血管は神経支配を受けていません。

そこ で、外から44~45℃で温熱をすると、正常組織では血流が約7倍になります。

熱を運び去ることにより41~42℃に維持し、細胞は生存します。これに対 して、がん細胞は、血管が拡がらないために、熱がこもって43℃以上になり、がん細胞は死滅します。

正常の細胞は生き、がん細胞は選択的に死にます。これ が一次的な作用です。
 

 

二次的作用としては、高温による直接効果とは別に「加温」によりさまざまな利点があります。

HSPが誘導されます
免疫能(NK活性、抗原提示能、INF、TMF)が上昇します
血流がよくなります
乳酸の産生が遅れ、運動能力が向上します
体温が上がることにより代謝が活発になります
このように温熱により幾つもの二次的効果があります。

 

 

○ HSPとは

HSPは、1962年に発見された蛋白質です。熱というストレスで出てきた蛋白ということから、熱ショック・タンパク(Heat Shock Protein: HSP)と名づけられました。
日本では愛知医科大学の伊藤要子博士が詳細な検討を行っております。
HSPの働きは、不良な蛋白を良い蛋白に治し、細胞を修理します。

HSPはストレスや体の筋肉に対する過重に対して細胞を活性化して負担を軽減する働きがあります。
HSPは、加温2日後をピークに、4日後まで増加します。HSPが増加1~4日間は加温しても効果がありません。週に1~2回のペースで行うのが適切です。

 

 

○ 温熱療法の効果
局所温熱療法
 全身温熱療法 

体温を上昇させることにより、がん細胞を攻撃します。
体温が上昇することにより、免疫機能が高まります。

エンドロフィンなどのホルモンが分泌され免疫機能が高まります。
汗腺と共に皮脂腺から発汗させて、皮脂腺の中にある化学物質などの環境ホルモンや有害ミネラルなどを排泄させる、デトックスとしての効果が 期待できます。
温めることにより末梢の血液循環が改善します。
温まることにより、リラックスできる。

 

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